「料理を一緒にしていますか?」
私は土日、簡単なおつまみぐらいは自分で作ることがあります。
仕事を終えた週末の夜に、家でくつろぎながら、冷蔵庫にあるものでちょっとしたつまみを作って晩酌。
それが自分にとってのささやかな“ご褒美時間”でもあります。
でも最近、この料理という日常の営みが、中学受験とも意外な形でつながっていることに気づきました。
■ 母の日は「子どもが料理を作る日」
我が家では、毎年母の日に子どもが料理を作るのが恒例になっています。
とはいっても、難しいものではなく「お父さんと一緒にカレー」です。
一緒に野菜を切って、鍋に放り込んで、ぐつぐつ煮込む。
最後にルーを入れて、味を見て、完成。
手順としてはシンプルですが、包丁の使い方、火加減、タイミングなど、子どもにとってはどれも新鮮な学びの連続です。
何より、「お母さんに喜んでもらいたい」という気持ちで動くその姿は、親としてとても頼もしく感じます。
料理をしている間の会話も楽しいものです。
「この野菜の切り方なーんだ?」
「にんじんの皮ってピーラーで剥くと楽だよね」
「隠し味は何使う?ソース?コーヒー?」
そんな何気ないやりとりの中に、親子の絆や思考力、観察力、工夫する力がじんわり育っていくのを感じます。
■ 簡単なメニューを日常に取り入れてみる
母の日のカレー以外にも、我が家ではたまにサラダや漬物など、簡単なメニューを子どもが作ることがあります。
- きゅうりを切って塩もみするだけの浅漬け
- トマトを切って、オリーブオイルと塩をかけただけのサラダ
- ごま油と醤油だけで作るナムル風の和え物
火を使わないこうしたメニューは、小学生でも安心して挑戦できます。
しかも、短時間でできて達成感があり、何より「家族が喜ぶ」ことが大きなご褒美になります。
日々の勉強と違い、料理は“目に見える結果”が出る活動です。
やったことが、すぐにかたちになり、味になり、人に喜ばれ、会話が生まれる。
それだけで、子どもにとっては「自分が家族の一員として役立てる」という実感が持てるのです。
■ ピーマンの輪切りの断面図が中学入試に!?
料理と中学受験がどうつながるの?
そう疑問に思った方もいるかもしれません。
実は以前、中学入試の理科の問題で「ピーマンを輪切りにしたときの断面図を選びなさい」という出題がされたことがあります。
この問題、ピーマンを実際に切った経験があれば即答できます。
でも、頭の中だけで「ピーマンの中身」を思い出そうとするのはなかなか難しいものです。
これを見たとき、私はハッとしました。
「何気ない日常体験が、試験問題とつながることって本当にあるんだ」
しかも、こうした問題は年々増えているように感じます。
たとえば:
- おにぎりの断面図を描け(ごはん+具材の重なり)
- 洗濯物が乾く過程(気温・湿度と水の蒸発)
- 台所の火の温度と調理時間の関係
- 醤油とみその違い(原料と発酵)
体験している子と、していない子とでは、理解の深さに大きな差が出るのです。
■ 私立中学は「勉強だけできる子」を求めていないかもしれない
中学受験というと、どうしても「偏差値」「合格実績」「模試の順位」といった数字に目がいきがちです。
もちろん、それも大切です。
でも最近、学校の入試問題や教育方針を見ていると、
「勉強だけできてもダメ」
「社会で通用する力を持った子に来てほしい」
というメッセージを感じるようになりました。
たとえば、ある学校の入試ではこんな問題が出ました。
- 「災害が起きたとき、あなたはどんな行動をしますか?」
- 「給食がなくなった学校で、生徒としてどうすればよいと思いますか?」
- 「あなたが最近体験したことで、学びにつながったことは何ですか?」
つまり、知識だけではなく「実感として考えられる力」や「日常と結びつけて考える力」が求められているのです。
■ 料理には“すべての教科”が詰まっている
料理って、ただの生活スキルじゃないんです。
- 算数:分量や割合、時間配分
- 理科:加熱による変化、水の蒸発、味の変化
- 国語:レシピを読み解く力、表現力
- 図工:盛りつけや彩りの工夫
- 社会:食材の産地、季節の食べ物
つまり、あらゆる教科のエッセンスが詰まった総合学習なのです。
しかも、料理には「答えが1つではない」という面白さもあります。
「カレーの隠し味に何を入れる?」
「トマトは湯むきする?」
「冷蔵庫の余り物で何が作れる?」
自分で考え、試してみて、結果を味わう。
この一連のプロセスこそ、受験で問われている“思考力・判断力・表現力”そのものです。
■ 料理を通じて“親子の距離”も縮まる
子どもと一緒に料理をしていると、不思議と会話が生まれます。
「今日、学校どうだった?」と聞いても答えない日でも、
キャベツを切りながら「この包丁、切れ味悪いね」なんて話しているうちに、
「そういえば今日、給食で○○が出てさ…」とぽろっと話し始めたりします。
勉強の時間では出てこない話が、料理中には出てくる。
これは、親子にとってとても大切な“非勉強時間”なのかもしれません。
■ 中学受験で勝つのは「人間力」のある子
最後に伝えたいことがあります。
それは、
中学受験において「人間力」が大きな武器になる
ということです。
もちろん、知識や解法の習得は大切です。
でも、それだけで合格する時代ではなくなっています。
- 自分の考えを持っている子
- 自分の言葉で語れる子
- 日常の中に学びを見つけられる子
そんな子が、今の中学受験で求められているように思います。
料理をする、掃除をする、買い物に行く、道順を覚える、献立を考える。
そのすべてが、子どもの“生きる力”になり、結果的に受験においても大きな強みになるのです。
■ 今日からできる、親子料理のすすめ
- 週末だけでもOK
- 簡単な副菜だけでもOK
- サラダを盛り付けるだけでもOK
「一緒に料理してみようか?」
このひとことが、親子の会話を生み、子どもの成長を促し、
そして、受験のその先までつながっていくかもしれません。
料理は、最高の“実体験型教材”です。
今日の夕飯、ちょっとだけお子さんに任せてみませんか?
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