中学受験を目指すお子さんを持つ親御さんにとって、「苦手教科の克服」は避けて通れない課題です。わが家の場合、子どもは典型的な理系タイプで、算数と理科は大好き。問題集を渡せばどんどん解き進め、応用問題にも意欲的に取り組みます。しかし、その一方で国語と社会は全くやる気が出ず、特に「自分の言葉で書く」問題になると初めから諦めてしまい、プリントが空欄だらけになることも…。
この状況は、きっと多くのご家庭でも「うちもそう!」と共感されるのではないでしょうか。今回は、わが家の苦手教科との向き合い方、そして「自分で考える力」をどう伸ばすかについて、実体験をもとにお話します。
理系科目は自走できるが、文系科目は空回り
うちの子は小さい頃から理科実験や数字遊びが大好きでした。算数の難問や理科の計算問題は、時間を忘れて解き続けます。塾でも算数や理科の成績は安定しており、先生からも「この子は理系が強いですね」と言われます。
ところが、国語や社会になると態度が一変。
特に国語の記述問題や社会の論述問題など、「自分の言葉で説明する形式」になると、手が止まり、諦めモードに。結果、提出されたプリントは空欄が目立ちます。
空欄で出す子どもの言い分
理由を聞くと、子どもはこう言います。
「説明を聞けば分かるから、別に自分で書かなくてもいい」
確かに、塾の授業で先生の解説を聞けば理解はできている様子。でも、私からすれば、それは本当の理解ではありません。なぜなら、「自分なりに考えて答えを書き、それを間違えて直す」というプロセスこそが、理解を深める最大のチャンスだからです。
授業後に正しい答えをそのまま写すだけでは、「知識のコピー」に過ぎません。自分で試行錯誤しながら書いた答えを修正する経験が、記憶と理解を定着させるのです。
親が促すと怒り出す問題
問題は、こちらが空欄を減らすように促すと、すぐに機嫌を損ねてしまうこと。
「なんでやらないの?」「とにかく書いてみなさい」と言った瞬間、怒って手を止め、最悪の場合は学習自体がストップします。
このパターン、正直なところ親にとってはかなりのストレスです。こちらは子どものために言っているのに、本人は「邪魔された」と感じてしまうのです。結果、親子関係が険悪になり、勉強時間の空気も悪くなる…。
受験勉強は「自分で考える」が前提
やはり中学受験の勉強は、最終的には自分で考えてやるしかありません。
親が「やらせている」状態では、長続きしませんし、成績も頭打ちになります。勉強のやり方も含めて「自分の勉強」として取り組めるかが、合否を分ける大きな要素です。
理系科目のように「好きだから勝手にやる」状態に持っていければ理想ですが、苦手科目ではその入口に立つまでが大変です。特に国語や社会のように、暗記や読解、文章表現が必要な科目は、日常的な習慣作りから始める必要があります。
苦手教科克服のために試したこと
1. 小さな目標を設定する
いきなり「全部埋めなさい」ではなく、「まず1問だけ書いてみよう」とハードルを下げる作戦です。
最初の一歩が踏み出せれば、その後は意外と続けられることがあります。
2. 間違いを歓迎する雰囲気作り
「間違ってもいいから書いてみよう」という空気を作ることが大切です。間違いを指摘するよりも、「書いてくれたこと」をまず評価します。
3. 親は解答を教えない
つい正解を教えたくなりますが、それでは本人の思考が止まります。答えのヒントは与えつつ、最終的な言葉は本人から引き出すようにしています。
4. 勉強時間を区切る
苦手教科は長時間やらせると集中が切れます。15分~20分単位で区切り、テンポよく進めます。
親としての覚悟
正直、苦手科目のやる気を引き出すのは根気が必要です。時には「今日はもうやめよう」と割り切る勇気も必要ですし、「自分で気づくまで待つ」忍耐も求められます。
そして、親がゴールを急ぎすぎると、子どもは逆にやる気を失います。「教科そのものに興味を持たせる」ことが、受験テクニックよりも先に必要な土台だと痛感します。
まとめ
わが家の経験から言えるのは、苦手教科の克服には「自分で考える経験」を積ませることが不可欠だということです。空欄のプリントに正しい答えを書き写すだけでは、本当の力はつきません。
国語や社会のような「自分の言葉で書く」問題こそ、間違えて修正するプロセスが大切です。そして、その姿勢を身につけるには、親の声かけや学習環境の作り方が大きく影響します。
中学受験は長い道のりです。苦手科目にイライラする日もありますが、焦らず、自分で考えて行動できる力を少しずつ育てていくことこそが、合格への近道だと思います。
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